1. 美容室のオプションメニューとは:2つの種類
オプションメニューは、カットやカラーなどの本メニューに足して受けていただく追加のメニューです。値段を決める前に、まず次の2つのどちらかを分けておきます。
| 種類 | 例 | お客様の時間 | スタイリストの時間 |
|---|---|---|---|
| 時間が延びるオプション | ヘッドスパ・ブローの仕上げなど | 延びる | 延びる |
| 時間が延びないオプション | カラーの放置時間に重ねるケア | ほぼ延びない | 放置時間を使う |
時間が延びるオプションは、その分だけ次のご予約が入れにくくなります。時間が延びないオプションは、今のご予約の枠のまま売上を足せます。同じ料金でも、サロンに残るものが大きくちがうので、値段の決め方も分けて考えます。
2. オプションの値段の決め方:下限を計算する
時間が延びるオプションの値段は、少なくとも「その時間で本メニューを受けていたら生まれた売上」と「材料費」を足した額にします。式にすると次のとおりです。
時間単価は、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度、美容業)の1人あたりの売上から計算した平均の目安、1時間あたり約5,300円を使います(くわしくは美容室の時間単価の計算方法と平均)。材料費は1回500円の例です。
| 延びる時間 | 時間の分 | 材料費(例) | 値段の下限 |
|---|---|---|---|
| 10分 | 約880円 | 500円 | 約1,400円 |
| 15分 | 約1,330円 | 500円 | 約1,800円 |
| 30分 | 約2,650円 | 500円 | 約3,200円 |
| 放置時間に重ねる(0分) | 0円 | メニューの材料費 | 材料費+お客様が納得する価値 |
※時間単価約5,300円と材料費500円は計算の例です。自分のサロンの1人の時間単価と、仕入れ値に置きかえてください。
15分延びるオプションを1,000円で出していると、下限の約1,800円に届かず、オプションが出るほど時間あたりの売上が下がってしまいます。反対に、放置時間に重ねるオプションは、延びる時間が0なので、材料費を引いた分がそのまま上乗せになります。
3. オプションで月の売上はいくら変わる?付け率で計算
オプションの売上は「本メニューのお客様の数×付け率×オプションの値段」で決まります。月に100人のお客様が来るサロンで計算した例です。
| 付け率 | 3,000円のオプション | 12,000円のオプション |
|---|---|---|
| 10%(10人) | 3万円 | 12万円 |
| 20%(20人) | 6万円 | 24万円 |
| 30%(30人) | 9万円 | 36万円 |
※計算の例です。付け率はサロンやメニューで大きく変わります。
安いオプションをたくさん付けていただくより、受ける理由のはっきりした単価の大きいオプションを、決まったお客様に付けていただくほうが、月の売上は大きく動きます。ただし、単価が大きいほど「なぜ受けるのか」を伝える手間が要ります。
4. 付けたくなるオプションの見せ方4つ
1.メニュー表では本メニューのすぐ下に「+何分・+何円」
オプションをメニュー表の最後にまとめると、本メニューを選んだあとには目に入りません。カラーの下に「+ケア +0分(放置時間に行います) +〇円」のように、時間と値段を並べて書くと、お客様が自分で足し算できます。
2.出すオプションは1〜2個に絞る
選択肢が多いと、どれも選ばれにくくなります。本メニューごとに、いちばん合うものを1〜2個だけ添えます。
3.施術中に、理由をつけて1回だけ伝える
お会計の前ではなく、カウンセリングや施術中に、お客様のお話(乾燥が気になる・時間がないなど)に合わせて「それなら、この放置時間に〇〇ができます」と1回だけ伝えます。断られたら、その日はそれ以上すすめません。
4.名前と説明で効果を言い切らない
化粧品を使うオプションの名前や説明で、効果を言い切る書き方はできません(医薬品医療機器等法 第66条)。「〇〇が消える」ではなく、何をするか・何分かかるかを書きます。
5. 放置時間に重ねるオプションの例:ララピール
時間が延びないオプションの例として、ララピールの組み方を紹介します。銀座のLUJU(運営会社の自店)では、カラーの放置の15〜25分でララピールの2つ目の工程(ULTRA)まで進め、シャンプーの間に置く時間をとっています。お客様の時間を大きく延ばさずに、顔のケアを足せます。
ララピールの通常コースの相場は1回10,000〜12,000円で、材料費は料金の1割ほどです。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割がララピールを注文しています。
| 計算 | 数字 | メモ |
|---|---|---|
| 月のカラーのお客様 | 40人 | 例 |
| ララピールを足す方 | 12人 | 導入サロンの平均3割 |
| 1回で残るお金 | 約11,000円 | 12,000円−材料費約1,000円 |
| 月に残るお金 | 約13.2万円 | 12人×約11,000円 |
機械はいらず、シャンプー台とセット面でできます。講習は1回で、講習のあとはカウンセリングシート・同意書・ポスターやPOPなど、オプションとして見せる道具がそろった状態で始められます。妊娠中の方など、施術を控える方の確認は同意書で行います。
6. 自分のサロンのオプションを、数字で確かめる
今あるオプションの値段を、自分の時間単価で計算した下限と並べてみてください。下限より安いものは、値段を見直すか、放置時間に重ねられる形に組みかえる候補です。1回の売上の上げ方は美容室の客単価の平均と上げる方法にもまとめています。
サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。
7. よくある質問
美容室のオプションメニューとは何ですか?
カットやカラーなどの本メニューに足して受けていただく追加のメニューです。お客様の時間が延びるものと、カラーの放置時間などに重ねて時間が延びないものがあります。
オプションの値段はどう決めればいいですか?
時間が延びるオプションは「延びる時間×自分の時間単価+材料費」を下限にします。時間単価が約5,300円、材料費500円の例なら、15分のオプションの下限は約1,800円です。
オプションはいくつ用意すればいいですか?
本メニューごとに1〜2個に絞るのがおすすめです。選択肢が多いと、どれも選ばれにくくなります。
オプションをすすめると嫌がられませんか?
お会計の前に何度もすすめると負担に感じる方がいます。施術中にお客様のお話に合わせて理由をつけて1回だけ伝え、断られたらその日はそれ以上すすめないようにします。
出典・参考にした資料
- 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査 業種別経営指標(美容業)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第66条(e-Gov 法令検索)
- LUJU(銀座)の施術の組み方(運営会社の自店)
※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。




