1. 美容師の副業で最初に確かめる2つのこと

「給料だけでは足りない」「休みの日に少し稼ぎたい」。そう考えたとき、美容師には、ほかの仕事にはない決まりが2つあります。始める前に、ここだけは確かめてください。

1.美容所の外では、原則として仕事ができない

美容師法の第7条で、美容の業は、美容所(保健所に届け出た店)で行うのが原則です。例外は政令で決まっていて、病気などで美容所に来られない方への施術と、婚礼などの儀式の直前の施術です。このほか、都道府県などの条例で決めている場合があります。

つまり、自宅の一室や友人の家でお金をもらって髪を切るのは、副業の思いつきとして多いのですが、原則できません。お金をもらって続けるなら、届出のある美容所で行うのが前提です。迷ったら、店のある地域の保健所に確かめてください。

2.勤め先の決まりを確かめる

厚生労働省のモデル就業規則は、勤務時間外に他の会社などの仕事をしてよいことを原則とし、事前の届出を求める形です。ただ、これは見本です。あなたの勤め先の決まりは、就業規則や雇用契約書で確かめます。

同じ見本でも、本業に支障が出るとき、秘密がもれるとき、店の信用を損なうとき、競業で店の利益を害するときは、禁止や制限ができるとされています。美容師の場合、近くの別のサロンで働くことや、今のお客様を別の店に呼ぶことは、この競業に当たりやすい話です。黙って始めず、先に話すのが安全です。

CHECK POINT 01美容の仕事は美容所で。勤め先の決まりも先に確認。この2つが副業の出発点です。

2. 美容師の副業を5つの形で比べる

おすすめできる形と、できない形を並べました。「できる」は一般的な話で、実際に受けられるかは地域の決まりと勤め先の決まりによります。

副業の形できる?気をつけること
休日に別の美容所で働くできる勤め先への届出。近くの店は競業になりやすい
美容以外のアルバイトできる雇われる働き方は、本業と労働時間を通算する
SNSや文章・教える仕事できる施術はしない。店の名前を出すなら店の了解を取る
婚礼などの儀式の直前のヘアメイク条件つき例外に当たる場面か。地域の条例も確かめる
自宅・友人宅でのカットやカラー原則できない美容所の届出が要る

よくある「ヘアメイクの副業」は、場面によって扱いが変わります。儀式の直前は例外に入りますが、ほかの現場は地域の条例しだいです。東京都の条例のように出演者への施術を挙げている例もあるので、受ける前に保健所に確かめてください。

雇われて働く副業は、労働基準法の労働時間を本業と通算します。一方、フリーランスや業務委託など、法律上は雇われていない働き方は通算の対象外です。ただし、働きすぎになりやすい点は同じです。立ち仕事の美容師にとって、休みが減ることは手の負担にも直結します。

3. 月にいくら増える?休日の副業と本業の中の売上を比べる

副業の話は「いくら稼げるか」だけで比べがちです。ここでは、使う時間も一緒に比べます。上の2つは休みの日に働く形、下の3つは本業の時間の中で新しいメニューを受ける形です。

例月の収入の増え方使う時間1時間あたり
美容以外のアルバイト(時給1,200円)38,400円休日4日(32時間)1,200円
別の美容所で業務委託(1日の売上5万円・取り分50%)100,000円休日4日(32時間)約3,100円
店の新メニュー(勤務・歩合20%)24,000円勤務の中で約7時間約3,600円
店の新メニュー(勤務・歩合30%)36,000円勤務の中で約7時間約5,400円
店の新メニュー(業務委託・取り分50%)60,000円勤務の中で約7時間約9,000円

※どれも計算の例です。新メニューは1回12,000円を月10回、1回40分として計算しました。歩合と取り分は店によって違うので、自分の数字に置きかえてください。

額だけなら、休日に別の美容所で働くのが大きく見えます。ただ、毎月4日の休みが消えます。本業の中の売上は額が小さくても、休みを減らさずに増えるのが違いです。しかもカラーの放置時間に重ねられるメニューなら、もともとお店にいる時間の中で進みます。

歩合の計算のしかたや、業務委託に移ったときの取り分は、業務委託の美容師の歩合と収入にまとめています。

CHECK POINT 02副業は「月にいくら」だけでなく「1時間あたり」と「休みが残るか」で比べます。

4. 副業の税金:20万円の見方と住民税

勤め先で年末調整を受ける方が1か所から給与をもらっている場合、給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が要ります(国税庁)。ここで言う所得は、収入から必要経費を引いた額です。

  • 業務委託や個人の仕事:収入−必要経費が年20万円を超えるか見る
  • アルバイトの給与:経費は引けない。2か所から給与をもらう場合の別の基準で見る
  • 医療費控除やふるさと納税で申告する方:副業の所得が20万円以下でも申告に含める
  • 住民税:所得税とは別の決まり。お住まいの市区町村に確かめる

売った金額や経費は、月ごとに控えておくと、年が明けてからあわてずにすみます。個別の判断は、税務署や税理士に確かめてください。

5. 本業の時間の中で収入を増やす方法

休みを使わずに増やす道は、1回の売上を上げることです。そのためには、今の席と今の時間で足せるメニューが1つ要ります。たとえばララピールは、機械がいらず、シャンプー台とセット面でできる肌のケアです。カラーと同じ日にでき、放置時間に重ねられます。

講習は1回で、美容師免許があれば、スタイリストでもアシスタントでも受けられます。フェイシャルが未経験でも、その日からメニューに出せます。ただし、美容師免許があり、美容所で施術できる人だけが導入できます。出張や自宅ではできません。

働き方始め方先にすること
勤務のスタイリスト店のメニューとして入れるオーナーに、歩合の扱いと一緒に相談する
業務委託店のメニューとして入れる持ち込みメニューの決まりと取り分を確かめる
面貸し・シェアサロン自分のメニューとして入れる場所の決まりを確かめる
オーナー店のメニューとして入れるスタッフも受けられる形で考える

銀座のLUJUは一人営業でセット面1つの店ですが、カラーの放置15〜25分で2つ目の工程まで進めています。通常コース1回12,000円なら、材料費約1,000円を引いて約11,000円が残ります。自分の取り分で考えるときは、この残りから店との分け方を見てください。

CHECK POINT 03勤めている方は、副業を探す前に「店のメニューとして足せないか」をオーナーに聞く価値があります。

6. 自分の働き方で、いくら増やせるか確かめる

副業がよいか、本業の中で増やすのがよいかは、今の売上と取り分で変わります。休日の副業を始める前に、一度数字で比べてみてください。

サロン診断では、働き方・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。お客様を増やす話は、フリーランス美容師の集客も参考にしてください。

7. よくある質問

美容師は自宅でカットの副業をしてもいいですか?

原則できません。美容師法の第7条で、美容の業は美容所で行うのが原則です。自宅で続けるなら美容所の届出が要ります。条件は店のある地域の保健所に確かめてください。

美容師が副業をすると勤め先に知られますか?

知られない前提で考えないほうが安全です。勤め先の就業規則に届出の決まりがある場合もあるので、始める前に確かめて、先に話しておくのがおすすめです。

副業がいくらから確定申告が要りますか?

1か所から給与をもらい年末調整を受ける方は、給与以外の所得(収入−必要経費)が年20万円を超えると確定申告が要ります。アルバイトの給与や住民税は見方が別なので、税務署や市区町村に確かめてください。

勤めているスタイリストでもララピールを始められますか?

美容師免許があれば講習を受けられますが、店のメニューとして入れるので、オーナーへの相談が先です。導入できるのは、美容師免許があり美容所で施術できる人だけです。

出典・参考にした資料

  1. 美容師法(昭和32年法律第163号)(e-Gov 法令検索)
  2. 美容師法施行令(昭和32年政令第277号)第4条(厚生労働省 法令等データベース)
  3. 東京都保健医療局「出張理容・出張美容について」
  4. 厚生労働省「副業・兼業と労働条件」確かめよう労働条件
  5. 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。