1. 業務委託の美容師とは:雇われるのではなく、契約で働く

業務委託の美容師は、サロンに雇われるのではなく、サロンと契約を結んで施術を引き受ける働き方です。給料ではなく、売上に応じた報酬(歩合)を受け取るのがふつうで、働く日や時間を自分で決めやすいのが特徴です。

雇われていないので、健康保険・年金は国民健康保険と国民年金に自分で入り、税金も確定申告で自分で納めます。一方で、施術する場所の決まりは雇われている美容師と同じです。美容師は美容所以外の場所で美容の業をしてはいけない(美容師法 第7条)ので、働くサロンが美容所として届け出てあることが前提になります。

2024年11月からは、フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)が始まりました。仕事を頼む側は、報酬の額や支払日などの取引条件を書面やメールで明らかにすることになっており、従業員を使う事業者が頼む場合は、報酬を原則として受け取りから60日以内に払う決まりです(公正取引委員会)。

CHECK POINT 01業務委託は「売上の歩合で受け取り、保険と税金は自分で払う」働き方。場所は美容所、条件は書面で確かめます。

2. 業務委託の美容師の収入:歩合ごとの早見表

受け取る報酬は、月の売上と歩合の割合で決まります。割合の例ごとに並べると、次のとおりです。

月の売上歩合40%歩合50%歩合60%
50万円20万円25万円30万円
80万円32万円40万円48万円
100万円40万円50万円60万円
120万円48万円60万円72万円

※歩合の割合は計算の例です。実際の割合は、サロンや契約ごとに違います。

表を見ると、売上80万円で歩合を50%から60%に上げてもらうと8万円増えますが、歩合50%のまま売上を100万円にすると10万円増えます。割合の交渉には相手がありますが、売上は自分の技術とメニューで動かせる部分です。

歩合の割合を比べるときは、材料費・シャンプー台やタオルの使用料・予約サイトの手数料を、どちらが持つかも確かめます。割合が高くても、材料費を自分で持つ契約なら、手元に残る額は変わります。

CHECK POINT 02歩合を10%上げてもらうより、売上を20万円上げるほうが受け取る額が大きくなる場面が多くあります。

3. 雇われて働く美容師と比べると

国の賃金の統計(厚生労働省 令和7年 賃金構造基本統計調査)では、雇われて働く「理容・美容師」の区分は、毎月の給料が約31.5万円、年間の賞与などが約10.6万円で、年収は約389万円です(働く人10人以上の会社のフルタイムの方。詳しくはアイリストの給料の平均と手取り)。

業務委託で、この年収(月にすると約32.4万円)と同じ額を受け取るのに要る月の売上を計算します。

歩合40%月の売上 約81万円
歩合50%月の売上 約65万円
歩合60%月の売上 約54万円

※計算の例です。約32.4万円÷歩合の割合 で出しています。業務委託では、ここから国民健康保険・国民年金・税金と、自分で持つ経費を払います。雇われている場合は、会社が社会保険料の一部を払っているので、同じ額面でも手元に残る額は違います。

CHECK POINT 03同じ額を受け取るのに要る売上は、歩合の割合で大きく変わります。保険と税金を自分で払う分も入れて比べます。

4. 業務委託の美容師のメリット・デメリット

メリットデメリット
収入売上が上がるほど、報酬がそのまま増える売上が下がると、報酬もそのまま減る
時間働く日・時間を自分で決めやすい休んだ日は売上が生まれない
保険・税金経費を確定申告で差し引ける国民健康保険・国民年金・確定申告を自分で行う
仕事の中身得意な施術に集中しやすい集客をサロン任せにすると、売上が伸びにくい
守り契約の条件を自分で選べる病気やけがのときの備えを自分で用意する

業務委託が向いているのは、自分のお客様がいて、売上を自分で作れる美容師です。反対に、売上がまだ安定していないうちは、受け取る額の上下が大きくなります。どちらの場合も、1回の単価を上げられるメニューを持っていると、来るお客様の数が同じでも報酬を上げられます。

CHECK POINT 04メリットとデメリットは同じことの裏表。売上を自分で作れるかどうかで、向き不向きが分かれます。

5. 契約の前に確かめる7つのこと

  • 歩合の割合:技術・店販・指名料で割合が違うか
  • 材料費と使用料:薬剤・タオル・予約サイトの手数料をどちらが持つか
  • 報酬の締め日と支払日:書面で明らかになっているか
  • キャンセルのとき:当日のキャンセルの扱い
  • 自分のメニューを持ち込めるか:新しいメニューを出すときの決まりと取り分
  • 美容所の届出:働く場所が美容所として届け出てあるか
  • やめるとき:契約の期間・やめる何日前に伝えるか・お客様の扱い

とくに「自分のメニューを持ち込めるか」は、あとから売上を上げたいときに効いてきます。新しいメニューを足すときに、材料をだれが仕入れるか、売上をどう分けるかを、先に話しておくと揉めずに済みます。

CHECK POINT 05条件は口約束にせず、書面で。持ち込みメニューの扱いまで確かめておくと、あとで売上を伸ばしやすくなります。

6. 業務委託の美容師が売上を上げる:自分の技術メニューを持つ

業務委託の美容師が報酬を上げるいちばんの近道は、同じお客様の同じ来店で、1回の単価を上げることです。カラーの放置時間のように、お客様が席にいるのに売上が生まれていない時間に重ねられるメニューなら、施術の時間を延ばさずに足せます(美容室の時間単価の計算方法)。

ララピールは、美容師免許があれば受けられる講習が1回で、機械を使わず、シャンプー台とセット面で施術できます。カラーと同じ日にでき、カラーの放置時間に重ねられます。北海道から東京までの導入9店舗のうち、3名はフリーランスの美容師です。

計算数字メモ
月に担当するお客様60人例
ララピールを受ける方18人導入サロンの平均3割
ララピールの売上21.6万円18人×通常コース12,000円
歩合50%のときの報酬の上乗せ約10.8万円持ち込みの取り分は契約で決める

※計算の例です。材料費は料金の1割ほど(通常コースで約1,000円)です。材料を自分で仕入れて持ち込む場合は、取り分の割合をサロンと別に決めることになるので、契約の前に確かめてください。

CHECK POINT 06担当のお客様の3割が足すだけで、歩合50%なら月に約10万円の上乗せになる計算です。

7. 業務委託のあなたの数字で確かめる

業務委託の美容師にとって、売上は報酬に直結します。いまの担当のお客様の数と単価で、どれだけ上げられるかを先に計算しておくと、サロンとの話し合いもしやすくなります。

サロン診断では、働き方・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。導入できるのは、美容師免許があり、美容所で施術できる方です。

8. よくある質問

業務委託の美容師の歩合はどれくらいですか?

割合はサロンや契約ごとに違い、国がまとめた相場の数字はありません。技術・店販・指名料で割合が違うことや、材料費をどちらが持つかでも手元に残る額が変わるので、契約の前に書面で確かめてください。

業務委託の美容師は確定申告が必要ですか?

業務委託の報酬は事業の収入になるので、原則として自分で確定申告をします。国民健康保険と国民年金も自分で入ります。詳しくは税務署や国税庁の案内で確かめてください。

業務委託でも、美容所ではない場所で施術できますか?

できません。美容師法 第7条で、美容師は美容所以外の場所で美容の業をしてはいけないと決まっています。働くサロンが美容所として届け出てあるかを確かめてください。

業務委託の美容師が自分のメニューを増やしてもいいですか?

契約とサロンの決まり次第です。材料をだれが仕入れるか、売上をどう分けるかを先に話し合い、書面にしておくと安心です。

出典・参考にした資料

  1. 公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)
  2. 美容師法(昭和32年法律第163号)第7条(e-Gov 法令検索)
  3. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(e-Stat)

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。