1. 美容室の時間単価の計算方法

時間単価は、1時間あたりにいくらの売上を生んでいるかを表す数字です。客単価が同じでも、かかる時間が違えば、時間単価は大きく変わります。計算は次の3つを使い分けると、見えるものが変わります。

メニューの時間単価そのメニューの料金÷施術にかかる時間
1人の時間単価1人の月の売上÷その人が月に働いた時間
残る時間単価(料金−材料費)÷施術にかかる時間

たとえば、カット+カラーが2時間で15,000円なら、メニューの時間単価は1時間あたり7,500円です。月の売上が80万円で、月に176時間(22日×8時間)働いたスタイリストなら、1人の時間単価は約4,500円になります。

1人の時間単価が、メニューの時間単価よりずっと低くなるのは、ご予約の入っていない時間も分母に入るからです。2つの差が大きいほど、空いている時間が多いということです。

CHECK POINT 01メニューの時間単価と、1人の時間単価。2つを並べると、どこで時間が売上になっていないかが見えます。

2. 美容室の時間単価の平均:公的な数字から計算する

美容室の時間単価そのものを出している公的な調べは、見当たりませんでした。そこで、日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度、美容業)にある「従業者1人あたりの売上」を、月176時間(22日×8時間の例)で割って目安を出しました。

区分1人あたりの年の売上月にすると1時間あたり(目安)
全体の平均1,113万円約92.7万円約5,300円
黒字の会社の平均1,318万円約109.8万円約6,200円
真ん中の会社(中央値)805万円約67.1万円約3,800円
従業者1〜4人のお店1,557万円約129.7万円約7,400円
従業者5〜9人のお店830万円約69.1万円約3,900円
従業者10〜19人のお店803万円約66.9万円約3,800円

※「1時間あたり」は、1人あたりの年の売上÷12か月÷176時間で出した計算の例です。従業者には、アシスタントや受付の方も入ります。働く時間はお店によって違うので、自分のサロンの時間に置きかえてください。

平均と黒字の会社では、1時間あたり約1,000円の差があります。1日8時間、月22日で考えると、ひと月に約17万円の差です。同じ時間を働いていても、その時間をどれだけ売上に変えられるかで、利益が分かれていると読めます(美容室の利益率の平均は?)。

CHECK POINT 02公的な数字から計算した平均の目安は、1時間あたり約5,300円。黒字の会社は約6,200円です。

3. 時間単価を下げている3つの時間

時間単価が上がらないとき、料金が安いことより、売上にならない時間が混ざっていることのほうが多いものです。とくに次の3つです。

  • 放置時間:カラーやパーマの薬剤を置いているあいだ。お客様は席にいるのに、新しい売上は生まれていない
  • ご予約のすき間:前のお客様と次のお客様のあいだの、30分に満たない空き
  • 時間のわりに料金の低いメニュー:長くかかるのに、料金が時間に見合っていないメニュー

このうち、お客様がいるのに売上が生まれていない放置時間は、いちばん手を付けやすい時間です。カラーの放置時間は20〜30分ほど。月に40人のカラーのお客様がいれば、それだけで月に13〜20時間ほどになります。

CHECK POINT 03時間単価を下げているのは、料金より「売上にならない時間」。いちばん手を付けやすいのは放置時間です。

4. 同じ時間で時間単価を上げる3つの方法

1.放置時間に、もう1つのメニューを重ねる

カラーの放置時間に、顔のケアのような別のメニューを進めれば、ご予約の長さをあまり変えずに売上を足せます。お客様にとっても、待つだけだった時間が、もう1つのケアの時間になります。組み方の詳しい例はカラーの放置時間にララピールを入れる組み方にまとめています。

2.時間のかかるメニューの料金を見直す

メニューごとに時間単価を出して並べると、時間のわりに料金が低いメニューが見つかります。すぐに値上げしなくても、組み合わせのメニューに入れて料金を整える方法もあります。

3.ご予約のすき間を、短いメニューで埋める

30〜40分で終わるメニューがあれば、ご予約のすき間にも入れられます。髪のメニューのあいだに来ていただける、通う間隔の短いメニューだと、すき間を埋める役にもなります。

CHECK POINT 04重ねる・見直す・埋める。新しいお客様を探す前に、今ある時間の使い方で時間単価は上がります。

5. 銀座LUJUの組み方:1時間あたり約1.5万円以上

銀座の美容室 LUJU は、代表の中村が一人で営業している、セット面1つのお店です。髪のメニューにララピールを組み合わせたコースを看板にしています。

コース料金時間1時間あたり
カット+カラー+ララピール+髪質改善トリートメント50,600円3時間約16,900円
リタッチ+カット+ララピール31,900円2時間約16,000円
ララピール単品15,000円1時間15,000円

時間単価を上げているのは、カラーの放置時間の使い方です。カラーの放置の15〜25分のあいだに、ララピールの2つ目の工程(ULTRA)まで進め、シャンプーの間に置く時間をとっています。髪と顔の施術を順番に並べるのではなく、重ねているので、3時間のコースの中に2つの売上が入ります。

2回目以降のリピート率は95%、来店の周期は41日です。公的な数字から計算した平均の目安(約5,300円)と比べると、1時間あたりの売上は約3倍です。

CHECK POINT 05セット面1つ・1人でも、放置時間に重ねる組み方で、1時間あたり約1.5万円以上をつくっています。

6. 計算の例:カラーのご予約に重ねると、時間単価はいくら上がる?

カット+カラーが2時間・15,000円のサロンで、ララピールの通常コース(12,000円)を放置時間に重ね、ご予約が30分延びた場合で計算します。通常コースは単独なら30〜40分ですが、放置時間に重ねるぶん、延びる時間は短くなります。

計算髪だけララピールを重ねる
料金15,000円27,000円
時間2時間2時間30分(例)
1時間あたりの売上7,500円10,800円
ララピールの材料費−約1,000円(料金の1割ほど)
1時間あたりに残るお金(ララピールの材料費を引く)7,500円約10,400円

※計算の例です。髪のメニューの材料費は、お店によって違うので引いていません。売上を約束するものではありません。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割がララピールを注文しています。

1時間あたりの売上は約1.4倍です。月にカラーのお客様が40人いて、その3割の12人が受けてくだされば、ララピールで月に約13.2万円(12人×約11,000円)が残る計算になります。

CHECK POINT 06延びるのは30分でも、売上は12,000円増える。時間単価は7,500円から10,800円になります。

7. 自分のサロンの時間単価を、数字で確かめる

サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。放置時間にどう重ねるかは、レポートから予約できるオンライン面談でご案内します。

8. よくある質問

美容室の時間単価はどう計算しますか?

メニューの時間単価は「料金÷施術にかかる時間」、1人の時間単価は「月の売上÷月に働いた時間」で出します。材料費を引いて計算すると、1時間あたりに残るお金も分かります。

美容室の時間単価の平均はいくらですか?

時間単価そのものを出している公的な調べは見当たりませんでした。日本政策金融公庫の調べ(2025年度)の1人あたりの年の売上1,113万円を、月176時間の例で割ると、1時間あたり約5,300円が目安です。

時間単価を上げるには値上げしかありませんか?

値上げのほかに、カラーの放置時間にもう1つのメニューを重ねる、ご予約のすき間を短いメニューで埋める、という方法があります。お客様の数を増やさずに、同じ時間の売上を増やせます。

放置時間にララピールを重ねても、お客様の時間は延びませんか?

ララピールの通常コースは単独で30〜40分です。カラーの放置時間に重ねると延びる時間は短くなりますが、どれだけ延びるかはメニューの組み方で変わります。銀座のLUJUでは、カラーの放置の15〜25分でULTRAの工程まで進めています。

出典・参考にした資料

  1. 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査 業種別経営指標(美容業)
  2. 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査 従業者規模別経営指標(美容業)
  3. 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」結果の一覧

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。