1. 美容所の開設届とは:開く前に保健所へ出す届け

美容師が仕事をする場所は「美容所」として届け出ることが、美容師法で決まっています。美容所を開く人は、場所・構造設備・従業者などを、あらかじめ都道府県知事に届け出ます(第11条)。窓口は、お店のある地域の保健所です。そして、使い始める前に構造設備の検査を受けて、確認をもらう必要があります(第12条)。

まつ毛エクステンションも美容師法の「美容」にあたるため、まつげサロンも同じ届出が要ります(厚生労働省の通知)。自宅の一部や小さな個室で開く場合も、1人で営業する場合も同じです。アイリストの独立の手続きの全体はアイリストが独立するにはにまとめています。

CHECK POINT 01美容所は「届け出て、検査を受けて、確認をもらってから」開店。開いてから届けるのではありません。

2. 開設届の流れ:事前相談から開店までの4段階

細かい手順や書式は保健所ごとに違います。ここでは、東京都の町田市保健所の「美容所のてびき」(2026年5月版)を例に、流れを見ていきます。

順番やることポイント
1事前相談構造設備などについて、図面を持って事前に相談する
2書類の提出施設の検査までの日数に余裕をもって、開設届などの書類と検査手数料を出す
3施設の検査施設ができあがったら、保健所の職員が設備の基準に合っているかを検査する
4確認・開店検査に適合し、保健所長の確認を得ると開店できる。確認済証は後日受け取る

いちばん大事なのは1番目の事前相談です。物件の契約や内装の工事の前に図面を見てもらうと、広さや設備が基準に足りず作り直す、ということを防げます。

CHECK POINT 02物件と内装を決める前に、図面を持って保健所へ。これが開設届をいちばん早く通す近道です。

3. 開設届に必要な書類と手数料(町田市の例)

書類など中身
開設届保健所の様式
構造設備の概要作業室の広さ・いすの台数・消毒の設備など
施設の平面図作業室・客待ちの場所・洗い場などがわかる図
従業者名簿働く人の一覧
美容師免許証免許を持つ人全員分(本証を見せる)
医師の診断書免許を持つ人の、結核・伝染性の皮膚の病気の有無が書かれた3か月以内のもの
管理美容師の講習の修了証免許を持つ人が複数いるとき
検査手数料24,000円
法人の登記事項証明書開く人が法人のとき(6か月以内のもの)

手数料の金額や、ほかに求められる書類は自治体で違います。お店を開く地域の保健所のページで、最新の様式とてびきを確かめてください。

美容師が常に2人以上いるお店では、管理美容師を置く決まりがあります(美容師法 第12条の3)。1人で営業するときは要りませんが、人を雇って2人以上になったら必要になるので、早めに講習の予定を確かめておくと安心です。

CHECK POINT 03書類で忘れやすいのは「3か月以内の診断書」と「管理美容師の修了証」。手数料は町田市の例で24,000円です。

4. 美容所を開く条件:広さ・明るさ・消毒の基準

美容師法では、美容所を清潔に保つこと、消毒の設備を設けること、採光・照明・換気を十分にすることが決まっていて(第13条)、細かい数字は都道府県などの条例で決まります。町田市保健所のてびきでは、次のように示されています。

項目基準(町田市の例)
作業室の広さ13㎡以上(壁の内側で測る)
美容いすの台数13㎡で6台まで。1台増やすごとに3㎡を足す
明るさ作業する面で100ルクス以上
換気室内の炭酸ガスの濃さ 0.5%以下
床・腰板コンクリート・タイル・リノリウム・板など、水がしみこまない材料
客待ちの場所作業室とはっきり分ける
洗い場・消毒上下水道につながった流水の装置、消毒薬・計量の器具、器具の消毒用の容器、乾かす棚など
しまう場所消毒した器具と布を、汚れないよう扉などのある場所に分けてしまう
毛髪箱・汚物箱それぞれふた付きのものを別に置く

いすの台数ごとの、作業室の広さの目安

「美容いす」には、セットいすだけでなく、シャンプーいすや待ちいすなども数えます。台数ごとに必要な広さを計算すると、次のとおりです。

美容いすの台数作業室の広さ(以上)
1〜6台13㎡
7台16㎡
8台19㎡
10台25㎡
12台31㎡

まつげ・眉のサロンで使うベッドの数え方や、個室を分けるときの扱いは、保健所によって案内が違うことがあります。図面の段階で確かめてください。

CHECK POINT 0413㎡でいす6台まで、1台ごとに3㎡。いすには、シャンプーいすや待ちいすも入ります。

5. 開いたあとに出す届け:変更・従業者・承継・廃止

開設届は、出して終わりではありません。町田市のてびきでは、次のようなときに届け出が要るとされています。

届け出すとき
変更届営業者の住所・お店の名前の変更、小さな増改築、作業スペースや作業いすの台数の変更など
従業者変更届新しく人を雇った・やめた・入れ替わったとき(免許証と診断書も)
承継届事業を譲り受けた・相続した・法人が合併したとき
新規開設届開く人が変わった・お店を移転した・建て替えや大きな増改築をしたとき
廃止届営業をやめたとき

施設を変えるときは、先に保健所に相談するよう案内されています。新しいメニューのために、いすやベッドを増やす・場所を広げるときも同じです。

CHECK POINT 05いすやベッドの台数、働く人が変わったら届け出る。施設を変える前に、まず保健所へ。

6. 届け出たお店で、売上を上げるメニューの足し方

開設届に書いた作業いすの台数や作業スペースを変えずに足せるメニューなら、施設の変更の届けを考えずに始められます。今の席やベッドで、今のメニューの時間に重ねられるものが、いちばん始めやすい形です。

たとえばララピールは機械がいらず、美容室ならシャンプー台とセット面、まつげ・眉のサロンならベッドや倒れるいすで行えます。カラーの放置時間や、まつげパーマ・眉のワックスと同じ日にできます。通常コースは1回10,000〜12,000円で、材料費は料金の1割ほどです。

月10回約11万円残る
月20回約22万円残る
月40回約44万円残る

※通常コース1回12,000円から材料費約1,000円を引いた、約11,000円で計算した目安です。導入できるのは、美容師免許があり、届け出た美容所で施術できる方だけです。

CHECK POINT 06届け出た今の席のまま足せるメニューなら、お店を変えずに1回の単価を上げられます。

7. 開設のあとの売上を、数字で確かめる

まつげ・眉のサロンで免許と届出をどう考えるかはアイブロウの仕事に資格はいる?にもまとめています。

サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。開いたばかりのお店や、これから開くお店の組み方は、レポートから予約できるオンライン面談でご案内します。

8. よくある質問

美容所の開設届はどこに出しますか?

お店のある地域の保健所に出します。美容師法では都道府県知事への届出と決まっていて、窓口はお店のある地域の保健所です。

美容所の開設届はいつまでに出せばいいですか?

開く前に出し、使い始める前に保健所の検査を受けて確認をもらう必要があります。町田市保健所のてびきでは、施設の検査までの日数に余裕をもって届け出るよう案内されています。物件を決める前に図面で事前相談をすると安心です。

美容所の開設届に診断書はいりますか?

町田市保健所の例では、美容師免許を持つ人全員の、結核・伝染性の皮膚の病気の有無が書かれた3か月以内の医師の診断書が必要です。求められる書類は自治体で違うので、地域の保健所で確かめてください。

美容所の広さの条件は?

町田市保健所の例では、作業室は13㎡以上で、美容いす(セットいす・シャンプーいす・待ちいすなど)は13㎡で6台まで、1台増やすごとに3㎡を足した広さが要ります。

まつげサロンも美容所の開設届がいりますか?

いります。まつ毛エクステンションは美容師法の「美容」にあたり、美容師免許と美容所の届出が必要です(厚生労働省の通知)。

出典・参考にした資料

  1. 美容師法(昭和32年法律第163号)第11条・第12条・第12条の3・第13条(e-Gov 法令検索)
  2. 町田市保健所「美容所のてびき」2026年5月
  3. 厚生労働省「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」ほか

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。