1. 数字で見る:美容所は4年で約2万か所増えた

「最近、近くにまた美容室ができた」。そう感じている方は多いと思います。厚生労働省の衛生行政報告例で、全国の美容所の数(各年度末)を見ると、次のとおりです。

年度末美容所理容所
2020年度257,890115,456
2021年度264,223114,403
2022年度269,889112,468
2023年度274,070110,297
2024年度277,752107,995

美容所は4年で19,862か所(約7.7%)増えました。2024年度だけでも3,682か所、1日あたりにすると約10か所ずつ増えている計算です。反対に、理容所は同じ4年で7,461か所減っています。

美容所の数には、美容室だけでなく、届け出たまつげサロンや、面貸し・シェアサロンなども入ります。どの形のお店がどれだけ増えたかまでは、この統計では分かれていません。

CHECK POINT 01美容所は毎年増え続けていて、2024年度末で277,752か所。近くの競合は、これからも増える前提で考えます。

2. お客様が使うお金は、ほぼ横ばい

お店が増えても、お客様が使うお金が同じだけ増えていれば、1店あたりの売上は保てます。総務省の家計調査(二人以上の世帯)で、美容室にかかわる支出を1年ずつ比べると、次のようになります。

品目(1世帯・1年)2024年9月〜2025年8月2025年9月〜2026年8月変化
パーマネント代2,251円2,161円−4.0%
カット代7,096円7,175円+1.1%
他の理美容代(カラー・セット・エステなど)25,226円26,156円+3.7%
合計34,573円35,492円+2.7%

1年で2.7%の増加です。家計調査は支払った金額の合計なので、来店の回数が増えたのか、1回の料金が上がったのかは、この数字だけでは分かりません。

お店の数は毎年1%あまり増え、お客様が使うお金の伸びは数%。新しいお客様を他のお店と取り合う形になりやすく、広告やクーポンにお金をかけても、思ったほど売上が伸びない。これが「経営が厳しい」と感じる背景です。

CHECK POINT 02お店は増え、お客様の財布はほぼ横ばい。新規の取り合いだけで売上を伸ばすのは、年々難しくなっています。

3. 美容室の経営が厳しくなる3つの理由

1.新規のお客様にかかるお金が増える

お店が増えるほど、予約サイトの掲載や広告で目立つためのお金が増えます。初回の割引で来たお客様が2回目に来ないと、そのお金は戻りません(失客率の出し方と防ぎ方)。

2.来店の間隔が伸びると、同じ人数でも売上が減る

お客様の数が同じでも、来店の間隔が伸びると、1年の来店の回数が減ります。客単価10,000円・お客様100人のサロンで計算すると、次のようになります。

来店の間隔1人の年の来店(365日÷間隔)100人の年の売上(例)
41日約8.9回約890万円
50日約7.3回約730万円
60日約6.1回約610万円

41日は、銀座のLUJUの2回目以降のお客様の平均の間隔です。間隔が41日から60日に伸びるだけで、同じ100人でも年の売上は約280万円減る計算です。

3.1人の手で回せる時間には上限がある

美容室の売上は「お客様の数×1回の単価」で、1人の美容師が1日に担当できる時間には限りがあります。予約が埋まっているのに残らないときは、人数でなく、1時間あたりの売上を見直す時期です(時間単価の計算方法と平均)。

CHECK POINT 03厳しさの正体は「新規のお金」「来店の間隔」「時間の上限」。どれも、今いるお客様との関係で変えられます。

4. 今いるお客様で売上を上げる3つの方法

1.次のご予約をお会計の前にいただく

来店の間隔を保ついちばん近い道は、次のご予約です。銀座のLUJUでは、次回のご予約で10%引き、または30日以内にもう一度ララピールを受けると3,000円引きの、どちらか1つをお付けしています。

2.通う間隔が短いメニューを1つ持つ

髪のメニューだけだと、来店の間隔は1〜2か月になります。間隔の短いメニューが1つあると、髪の来店のあいだにもう1回来ていただけるきっかけになります。

3.1回の単価を、時間を延ばさずに上げる

カラーの放置時間のように、お客様が待っている時間に重ねられるメニューなら、施術の時間を延ばさずに1回の単価を上げられます。新規を増やすより、広告のお金がかからない打ち手です。

CHECK POINT 04次のご予約・間隔の短いメニュー・待ち時間に重ねるメニュー。どれも新規の取り合いに頼らない打ち手です。

5. 今いるお客様にララピールを足すと、いくらになるか

ララピールは、カラーの放置時間に重ねて行えるメニューです。最初の5〜6回を1〜2週間おき、そのあとは2週間〜1か月おきに受けていただく流れなので、髪の来店のあいだのきっかけにもなります。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割が注文しています。

計算(例)数字メモ
月の来店80人例
ララピールを受ける方24人平均3割
1回で残るお金約11,000円通常コース12,000円−材料費 約1,000円
月に残るお金約26.4万円24人×約11,000円

新しいお客様を1人も増やさず、席も人も増やさない計算です。数字は目安で、実際の注文の数はお店の客層とご案内のしかたで変わります。導入できるのは、美容師免許があり、美容所で施術できる方です。

CHECK POINT 05新規の取り合いの外で、今いるお客様の1回の単価を上げる。厳しい時期ほど、この順番が効きます。

6. 自分のサロンの数字で、打ち手を決める

全国の数字は背景です。大事なのは、あなたのサロンのお客様の数・来店の間隔・1回の単価のうち、どこにいちばん伸びしろがあるかです。

サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。今いるお客様でどう組み立てるかは、レポートから予約できるオンライン面談でご案内します。

7. よくある質問

美容室の経営が厳しいと言われるのはなぜですか?

美容所の数が毎年増えている(2024年度末で277,752か所、4年で約2万か所増)一方、1世帯が美容室などに使うお金はほぼ横ばいで、新しいお客様の取り合いになりやすいためです。広告や割引のお金が増え、来店の間隔が伸びると、同じ客数でも売上が減ります。

美容室の数は増えていますか?減っていますか?

厚生労働省の衛生行政報告例では、美容所は2020年度末の257,890か所から2024年度末の277,752か所へ増えています。理容所は同じ期間に115,456か所から107,995か所へ減っています。

経営が厳しいとき、まず何から手をつければいいですか?

新規の集客より先に、今いるお客様の次のご予約(来店の間隔)と、1回の単価を見直すのがおすすめです。来店の間隔が41日から60日に伸びると、同じ100人・客単価1万円でも年の売上は約280万円減る計算です。

出典・参考にした資料

  1. 厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」生活衛生関係(表4 生活衛生関係施設数の年次推移)
  2. 総務省統計局「家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 品目分類 1世帯当たり1か月間の支出金額」2024年9月〜2026年8月(e-Stat)

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。