1. 美容室のサブスクとは:月額で決まった回数・内容を受けられる売り方

美容室のサブスクは、毎月決まった金額をいただき、決まったメニューを回数の制限なし、または決まった回数まで受けていただく売り方です。シャンプー・ブローの通い放題、前髪カットの通い放題、トリートメントの月額などがあります。

お店にとっての良い点は、毎月の売上の一部が先に読めることと、来店のきっかけが増えることです。ただし、1回ずつの料金でいただくときとは、お金の残り方がまったく違います。まずは、全国のお客様が美容室にいくら使っているかから見てみます。

品目(二人以上の世帯)2024年9月〜2025年8月2025年9月〜2026年8月
パーマネント代2,251円2,161円
カット代7,096円7,175円
他の理美容代(カラー・セット・エステなど)25,226円26,156円
合計(1年)34,573円35,492円

総務省の家計調査で見ると、1世帯が美容室などに使うお金は1年で約3.5万円、ひと月にすると約2,900円です(世帯全体の合計で、1人分ではありません)。月額のサブスクは、この「ひと月に使う額」をお客様に先に決めていただく売り方だと考えると、値段の感覚がつかみやすくなります。

CHECK POINT 01サブスクは「ひと月に使う額」を先に決めていただく売り方。1回ずつの料金とは、お金の残り方が変わります。

2. 美容室のサブスクの4つのデメリット

1.よく来る方ほど入る

通い放題に入るのは「たくさん通えば得をする」と感じる方です。月に1回も来ない方は入りません。つまり、入会した方の来店回数は、ふだんのお客様の平均より多くなりやすく、1回あたりの売上は下がる方向に動きます。

2.席の時間が埋まり、1回ずつの予約が入らなくなる

サブスクの方の来店が増えると、その時間はほかのお客様の予約を入れられません。1人営業のサロンでは、とくに土日の時間がサブスクの方で埋まると、単価の高いメニューの予約を断ることになります。

3.材料費は来店のたびにかかる

月額は変わらないのに、材料費は来店の回数だけ増えます。カラーやトリートメントのように1回の材料費があるメニューを通い放題にすると、よく来る方ほど残るお金が減ります。

4.やめるときの不満が大きい

月額をやめた方は、来店そのものもやめてしまうことがあります。値上げや内容の見直しをするときも、1回ずつの料金より説明が難しくなります。

CHECK POINT 02サブスクは「よく来る方ほど入る」「席と材料費は回数だけ減る」売り方。ここを数字で確かめずに始めると、忙しいのに残らない月が続きます。

3. 儲かるかは「月額÷来店回数」で決まる

1回5,000円のメニューを、月額9,800円の通い放題にした場合で計算します(値段は例です)。

その月の来店回数1回あたりの売上1回ずつの料金との差
1回9,800円+4,800円
2回4,900円−100円
3回約3,270円約−1,730円
4回2,450円−2,550円
6回約1,630円約−3,370円

月に2回でほぼ同じ、3回を超えると1回ずつの料金より少なくなります。ただ、上で見たとおり、入会するのは月に何度も来る方です。1回しか来ない月が続く方は、やがて解約します。

ふだんの来店の間隔と比べる

銀座のLUJUでは、2回目以降のお客様の来店の間隔は平均41日です。ひと月にすると約0.73回。1回ずつの料金なら、月の売上は「単価×0.73」です。このお客様に通い放題をお勧めして月に2回来ていただくと、売上は月額で決まり、席の時間は約2.7倍使うことになります。

来店41日おき(1回ずつ)月 約0.73回
通い放題で月2回席の時間は約2.7倍
月額9,800円・月2回1回あたり4,900円
CHECK POINT 03サブスクが儲かるのは、来店が増えても時間と材料費がほとんど増えないメニューだけです。

4. サブスクに向くメニュー・向かないメニュー

メニュー向き・不向き理由
シャンプー・ブロー、スタイリング向く時間が短く、材料費が軽い。空いている時間に入れやすい
前髪カット・顔まわりの手直し向く10〜15分で終わる。本来のカットの来店につながる
カット条件つき時間がかかる。月の回数の上限を決めないと席が埋まる
カラー・パーマ・縮毛矯正向かない1回の材料費と時間が大きく、回数が増えるほど残らない
顔のケアなど、通う目安が決まっているメニュー回数券や次回予約の特典のほうが合う最初の数回の間隔が決まっていて、通い放題にする意味が薄い

顔の施術を月額にする場合は、もう1つ確かめることがあります。特定商取引法では、人の皮膚を美化する施術などの「エステティック」で、期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約に、書面の交付やクーリング・オフの決まりがかかります。契約の形によって当てはまることがあるので、消費者庁の案内で確かめてから始めてください。

CHECK POINT 04サブスクに向くのは「短時間・材料費が軽い」メニュー。カラーや顔のケアは、1回ずつか回数の決まった売り方が合います。

5. サブスクの代わりに:通う目安があるメニューを1つ持つ

サブスクで目指したいのは「毎月決まって来ていただくこと」と「売上が読めること」です。これは、通う目安があるメニューを1つ持ち、次のご予約をいただくことでも近づけます(次回予約率を上げる特典の決め方)。

たとえばララピールは、最初の5〜6回を1〜2週間おき、そのあとは2週間〜1か月おきに受けていただく流れです。通常コースは1回10,000〜12,000円、材料費は料金の1割ほどで、カラーの放置時間に重ねて行えます。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割が注文しています。

計算(例)数字メモ
月の来店60人例
ララピールを受ける方18人平均3割
1回で残るお金約11,000円12,000円−材料費 約1,000円
月に残るお金約19.8万円18人×約11,000円

通い放題のように1回の単価を下げず、席の時間も増やさずに、来店のきっかけと月の売上を足す形です。数字は目安で、実際はお店の客層と組み方で変わります。

CHECK POINT 05「毎月来ていただく」は、値下げの月額でなく、通う目安があるメニューと次のご予約でも作れます。

6. サブスクにする前に、自分のサロンの数字で確かめる

サブスクを始めるかどうかは、今のお客様の来店の間隔・1回の材料費と時間・空いている時間帯で決まります。まずは今の客単価と、上げる余地を確かめてみてください(客単価の平均と、無理なく上げる3つの方法)。

サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。月の売上をどう安定させるかは、レポートから予約できるオンライン面談でご案内します。

7. よくある質問

美容室のサブスクのデメリットは何ですか?

よく来る方ほど入会するため1回あたりの売上が下がること、席の時間が埋まってほかの予約が入りにくくなること、材料費が来店の回数だけかかること、やめるときに来店ごと離れやすいことの4つです。

美容室のサブスクは儲かりますか?

「月額÷来店回数」が1回ずつの料金を下回らず、来店が増えても時間と材料費がほとんど増えないメニューなら残ります。1回5,000円のメニューを月額9,800円にすると、月2回でほぼ同じ、3回を超えると1回ずつの料金より少なくなります(例の計算)。

サブスクに向くメニューは?

シャンプー・ブローや前髪カットのように、時間が短く材料費が軽いメニューです。カラーやパーマのように1回の材料費と時間が大きいメニューは向きません。

顔の施術を月額にしてもいいですか?

期間が1か月を超え、金額が5万円を超える顔の施術の契約は、特定商取引法の「特定継続的役務提供(エステティック)」にあたる場合があります。契約の形を決める前に、消費者庁の案内と消費生活センターで確かめてください。

出典・参考にした資料

  1. 総務省統計局「家計調査(家計収支編)二人以上の世帯 品目分類 1世帯当たり1か月間の支出金額」2024年9月〜2026年8月(e-Stat)
  2. 消費者庁「特定商取引法ガイド 特定継続的役務提供」

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。