1. アイリストが独立するには:必要な手続きは4つ

まつ毛エクステンションは美容師法の「美容」にあたるため、施術できるのは美容師免許を持つ人だけです(厚生労働省の通知)。独立するときは、免許に加えて「お店そのもの」の手続きが要ります。美容師法で決まっている流れは次のとおりです。

順番やること決まりの元
1美容師免許を持っている美容師法 第6条(美容師でなければ美容を業としてはならない)
2お店の場所・構造設備・従業者などを、開く前に届け出る美容師法 第11条(美容所の開設の届出)
3使い始める前に、構造設備の検査を受けて確認をもらう美容師法 第12条(美容所の使用)
4美容師が常時2人以上なら、管理美容師を置く美容師法 第12条の3(管理者)

届け出の先は、お店のある地域の保健所です。お店は「常に清潔に保つ」「消毒設備を設ける」「採光・照明・換気を十分にする」ことが法律で決まっていて(第13条)、床の広さなどの細かい基準は都道府県などの条例で決まります。物件を契約する前に、図面を持って保健所に相談しておくと、あとからの作り直しを防げます。

美容師は美容所以外の場所で美容の業をしてはいけない決まりです(第7条)。自宅の一部で開く場合も、シェアサロンや面貸しで働く場合も、施術する場所が美容所として届け出てあるかを確かめてください。

CHECK POINT 01独立に要るのは「免許」と「美容所の届出・検査」。基準は地域で違うので、物件を決める前に保健所へ。

2. 管理美容師が要るのは、美容師が2人以上のときから

「独立するには管理美容師の資格が要る」と思われがちですが、条文では、美容師である従業者が常時2人以上いる美容所に、管理美容師を置くことになっています。1人で開くお店なら、管理美容師は要りません。

管理美容師になれるのは、美容師の免許を受けたあと3年以上美容の業務に従事し、都道府県知事が指定した講習会を修了した人です(第12条の3 第2項)。開設者本人がこの条件を満たしていれば、自分が主に管理する1つのお店の管理美容師を兼ねられます。

1人で開く管理美容師は要らない
美容師を1人雇って2人になる管理美容師が要る
管理美容師になれる人免許のあと3年以上の実務+講習の修了

最初は1人で開き、いずれスタッフを増やしたい場合は、免許を取ってからの年数と講習の日程を早めに確かめておくと、雇うときに慌てません。

CHECK POINT 021人営業なら管理美容師は不要。スタッフを入れて2人になる時点で必要になります。

3. 独立の資金は「場所の形」で大きく変わる

独立の資金は、どこで開くかでいちばん大きく変わります。金額は地域や物件でまったく違うので、ここでは比べるときに見る項目を並べます。

開き方かかりやすいお金確かめること
テナントを借りる保証金・内装・ベッドや照明・家賃物件が美容所の基準を満たせるか(契約の前に保健所へ)
自宅の一部で開く内装・ベッドや照明住まいと分けられるか・基準を満たせるか
シェアサロン・面貸し利用料(定額か売上の割合)その場所が美容所として届け出てあるか

どの形でも共通して要るのは、商材・消毒の道具・予約の仕組み・最初の集客のお金です。資金を考えるときは「開くまでのお金」だけでなく、売上が安定するまでの数か月分の家賃や生活費も入れておきます。

シェアサロンや面貸しは、開くまでのお金を小さくできる一方で、売上に応じて利用料がかかる形もあります。どの形が向いているかは、次の年収の計算に当てはめて比べると決めやすくなります。

CHECK POINT 03資金は「開くまで」+「軌道に乗るまで」で考える。場所の形ごとに、要るお金と確かめることが違います。

4. 独立したアイリストの年収を計算する

独立すると、給料ではなく「売上から経費を引いた残り」が収入になります。まずは売上を出します。1人営業で、月20日営業したときの月の売上は次のとおりです。

1回の単価1日4人1日5人1日6人
6,000円48万円60万円72万円
8,000円64万円80万円96万円
10,000円80万円100万円120万円

※計算の例です。1回の単価×1日の人数×月20日 で出しています。

ここから、家賃(または利用料)・商材・消毒の道具・予約の仕組みや広告・水道光熱費などの経費を引いたものが、手元に残るお金です。さらに、国民健康保険・国民年金・税金も自分で払います。

たとえば月の売上80万円で、経費が月35万円(例)なら、残りは月45万円、年540万円です。国の統計で、雇われて働く美容師の区分の年収が約389万円(令和7年 賃金構造基本統計調査。詳しくはアイリストの給料の平均と手取り)なので、それを超えるかどうかは、売上と経費の差で決まります。

CHECK POINT 04独立後の年収=売上−経費。表で自分の単価と人数を当てはめ、経費を引いて確かめます。

5. 1人営業で売上を上げるのは「人数」より「1回の単価」

1人でベッド1台なら、1日に施術できる人数には限りがあります。上の表で、1日4人から6人に増やすと月の売上は1.5倍になりますが、そのぶん休む時間は減ります。人数を増やす前に、1回の単価を上げられないかを考えます。

1.今のお客様に、同じ日にもう1つ受けていただく

まつげパーマや眉の施術に、同じベッドでできるメニューを重ねると、来店の数は同じまま1回の単価が上がります。お客様にとっても、来る回数を増やさずに済みます。

2.次のご予約を、その日のうちにいただく

1人営業では、空いた枠がそのまま売上の穴になります。施術中に次の時期を伝え、お会計の前にご予約をいただくと、月の予定が先に埋まります。

3.免許で扱えるメニューを広げる

美容師免許があるので、化粧品を使った顔のケアも、美容所のメニューとして出せます(厚生省の通知で、化粧品を使った顔の施術は「美容」に入るとされています)。まつげの施術と組み合わせたときの時間の組み方はまつげサロンの新メニューは何を足す?にまとめています。

CHECK POINT 051人営業の売上は、人数を増やすより、同じ来店で1回の単価を上げるほうが体の負担が少なく済みます。

6. 独立したアイリストがララピールを足すと

ララピールは機械を使わず、まつげ・眉のサロンならベッドや倒れる椅子でそのまま施術できます。まつげパーマや眉のワックスとも同じ日にできます。講習は1回で、フェイシャルの経験がなくても、その日からメニューに出せます。

月の来店が80人の1人サロンで、いつものお客様の3割が受けた場合を計算します。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割がララピールを注文しています。

計算数字メモ
月の来店80人例(1日4人×20日)
ララピールを受ける方24人平均3割
1回で残るお金約11,000円通常コース12,000円−材料費約1,000円
月に残るお金約26.4万円24人×約11,000円

来店の数は同じまま、月の売上が約26万円上がる計算です。材料費は料金の1割ほどなので、経費はほとんど増えません。施術時間は通常コースで30〜40分なので、予約の組み方とあわせて考えます。

CHECK POINT 06人数を増やさずに、月に残るお金を上げられるのが、独立したアイリストにとっての利点です。

7. 独立する前に、自分の数字で確かめる

独立の前に決めておきたいのは「何人に、いくらで、何日」施術するかです。単価の上げ方を最初から組んでおくと、開業後の売上の見通しが立てやすくなります。

サロン診断では、働き方・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。導入できるのは、美容師免許があり、美容所で施術できる方です。

8. よくある質問

アイリストが1人で独立するとき、管理美容師の資格は要りますか?

要りません。美容師法では、美容師である従業者が常時2人以上いる美容所に管理美容師を置くことになっています。スタッフを雇って2人以上になるときに必要です。

自宅でまつげサロンを開けますか?

美容所として届け出て、構造設備の検査で確認を受ければ開けます。床の広さなどの基準は都道府県などの条例で決まるので、店のある地域の保健所に、工事の前に相談してください。

独立したアイリストの年収はどれくらいですか?

決まった平均の数字はありません。「1回の単価×1日の人数×営業日」で売上を出し、家賃・商材・広告などの経費を引いた残りが収入になります。国民健康保険・国民年金・税金は自分で払います。

美容師免許を持っていないスタッフに施術してもらえますか?

できません。美容師法 第6条で、美容師でなければ美容を業としてはならないと決まっています。まつ毛エクステンションも美容にあたります。

出典・参考にした資料

  1. 美容師法(昭和32年法律第163号)第6条・第7条・第11条・第12条・第12条の3・第13条(e-Gov 法令検索)
  2. 厚生労働省「まつ毛エクステンションによる危害防止の徹底について」ほか
  3. 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」(e-Stat)

※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。