1. 美容室の倒産件数:2025年は120件で過去20年の最多
美容室の倒産のニュースが増えています。民間の信用調査会社、東京商工リサーチは、日本の産業分類で「美容業」に入る会社や個人の倒産を集計しています。公表されている数字を並べると、次のとおりです。
| 期間 | 美容業の倒産 | 前の年との比べ |
|---|---|---|
| 2024年(1〜12月) | 114件 | − |
| 2025年(1〜12月) | 120件 | 5.2%増・過去20年で最多 |
| 2025年度上半期(4〜9月) | 58件 | − |
| 2026年度上半期(4〜9月) | 54件 | 6.8%減・2007年度以降で2番目の多さ |
2026年度の上半期は前の年より4件少なくなりましたが、2年続けて50件台で、20年間で2番目に多い水準です。同じ期間には、人手不足が原因の倒産が5件(前の年の同じ期間は2件)あり、過去最多になっています。
※倒産の件数は、裁判所での手続きなどに入った会社・個人の数です。借金を残さずに閉めた「廃業」や、店を閉じただけの場合は入りません。
2. 数で見ると、倒産するのは全体のごく一部
件数が増えているとはいえ、全国の美容所の数と比べると、倒産はごく一部です。厚生労働省の衛生行政報告例では、2024年度末の美容所は全国で277,752か所でした。
※計算の例です。倒産の件数には美容所を持たない会社も含まれ、1つの会社が複数のお店を持つこともあるので、割合は目安として見てください。
一方で、美容所の数は2024年度の1年間で3,682か所増えています(新しく開いた数から閉じた数を引いた数)。お店は毎年増え続けていて、近くのお店とお客様を分け合う形になりやすいことが、倒産の背景にあります。お店の数とお客様が使うお金の推移は、美容室の経営が厳しい理由にまとめています。
3. 倒産の理由:8割以上が「販売不振」、多くは小さなお店
2025年の120件を中身で分けると、倒産の形がはっきり見えてきます。
| 分け方 | いちばん多いもの | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 原因 | 販売不振(100件) | 83.3% |
| 倒産の形 | 破産(111件) | 92.5% |
| 負債の額 | 1億円未満(109件) | 90.8% |
| 資本金 | 1千万円未満(111件) | 92.5% |
2026年度の上半期(54件)でも、原因は販売不振が41件(75.9%)、働く人が5人未満のお店が48件でした。つまり、美容室の倒産のほとんどは、大きな借金を抱えた大型店ではなく、売上が足りなくなった小さなお店です。破産がほとんどなのは、立て直しの手続きをとる前に、資金が続かなくなっていることを表しています。
販売不振の中身は「お客様の数×1回の単価」の不足
美容室の売上は「お客様の数×1回の単価」です。販売不振は、このどちらか、または両方が、家賃や人件費をまかなえる水準に届かなくなった状態です。新しいお店が近くにできて新規のお客様が減る、来店の間隔が伸びる、材料や光熱費が上がっても料金を上げられない。どれも小さなお店ほど影響が大きく出ます。
4. お店の大きさで見る:小さなお店ほど経費が重い
日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」(2025年度)には、美容業の会社(法人)を働く人の数で分けた数字が出ています。
| 働く人の数 | 売上に対する営業利益 | 売上に対する人件費 | 売上に対する諸経費(家賃など) |
|---|---|---|---|
| 1〜4人 | −3.0% | 36.6% | 40.4% |
| 5〜9人 | −1.2% | 45.2% | 34.5% |
| 10〜19人 | −2.0% | 46.6% | 32.9% |
| 20〜49人 | 0.9% | 43.2% | 30.7% |
1〜4人のお店は、家賃などの諸経費が売上の4割を超え、どの大きさよりも重くなっています。家賃や光熱費は、お客様が少ない月でも同じだけかかります。小さなお店ほど、売上が少し落ちただけで赤字に傾きやすいということです。
※法人の数字です。個人で営むお店は入っていません。また、法人ではオーナーの給料が人件費に入るため、営業利益がマイナスでも、オーナーの収入がないという意味ではありません。
5. 続くお店の数字:同じ人数で売上を作っている
同じ公庫の調べでは、美容業555社のうち、黒字で自己資本もプラスの会社は238社(約4割)でした。全体の平均と比べると、差は次のところに出ています。
| 数字 | 全体の平均 | 黒字の会社の平均 |
|---|---|---|
| 売上に対する営業利益 | −1.9% | 5.1% |
| 働く人1人あたりの年の売上 | 1,113万円 | 1,318万円 |
| 売上総利益率(材料などを引いた残り) | 84.4% | 84.8% |
材料などを引いた残り(売上総利益率)は、黒字の会社も全体もほぼ同じです。差が出ているのは、働く人1人あたりの売上で、黒字の会社は約200万円多くなっています。人を減らしたり材料を削ったりしたのではなく、同じ人数で多くの売上を作れていることが、続くお店の共通点です(美容室の生産性の計算式と平均)。
続くお店がしている3つのこと
- 来ているお客様の来店の間隔を守る:次のご予約をお会計の前にいただく(失客率の出し方と防ぎ方)
- 1回の単価を、時間を延ばさずに上げる:カラーの放置時間など、席にいるのに売上が生まれていない時間に重ねる
- 値引きで新規を集めすぎない:初回の割引で来た方が2回目に来ないと、広告のお金が戻らない
6. 1人あたりの売上を足すメニューの例:ララピール
人数も席も増やさずに1回の単価を上げる方法の1つとして、美容室で導入されているのがララピールです。機械を使わず、専用の筆で2つの液を順に塗る顔のケアで、カラーと同じ日にでき、カラーの放置時間(20〜30分)に重ねられます。
1〜4人のお店の営業利益率(−3.0%)で、月の売上が100万円のお店を例に計算します。赤字は月3万円です。
| 計算(例) | 数字 | メモ |
|---|---|---|
| 月の赤字 | 約3万円 | 売上100万円×−3.0% |
| ララピール1回で残るお金 | 約11,000円 | 通常コース12,000円−材料費 約1,000円 |
| 赤字を埋める回数 | 月3回 | 3万円÷約11,000円 |
| 月の来店80人の3割が受けた場合 | 約26.4万円 | 24人×約11,000円 |
※計算の例です。歩合で払う分や、施術の時間が新しく必要になる場合の人件費は入れていません。導入しているサロンでは、いつものお客様の平均3割がララピールを注文しています。数字は目安で、売上を約束するものではありません。
講習は1回で、美容師免許があればスタイリストでもアシスタントでも受けられます。導入できるのは、美容師免許があり、美容所で施術できる方です。費用の考え方は導入費用と、1回の施術で残るお金にまとめています。
7. 自分のお店の数字で、足りない分を確かめる
倒産の理由の多くは販売不振です。大事なのは、あなたのお店で、決まった経費に対して売上がいくら足りないのか、それをお客様の数と1回の単価のどちらで埋めるのかを、数字で決めておくことです。
サロン診断では、スタッフの人数・メインのメニュー・月の売上と客数など6つの質問から、ララピールを入れたときの売上の見込みをレポートでお届けします。お店に合う組み方は、レポートから予約できるオンライン面談でご案内します。
8. よくある質問
美容室の倒産件数は何件ですか?
東京商工リサーチの集計では、美容業の倒産は2024年が114件、2025年が120件で、2025年は過去20年で最多でした。2026年度上半期(4〜9月)は54件です。
美容室の倒産率はどのくらいですか?
倒産率の公式な数字はありません。2025年の倒産120件を、2024年度末の美容所277,752か所と比べると約0.04%で、約2,300か所に1件の計算です(目安です)。
美容室が倒産するいちばんの理由は何ですか?
2025年の120件のうち100件(83.3%)が販売不振でした。多くは負債1億円未満・資本金1千万円未満の小さなお店です。
廃業した美容室の数は分かりますか?
国の統計では、美容所の数の増え方(2024年度は3,682か所増)は分かりますが、閉じたお店の数だけを示した数字は公表されていません。倒産の件数には、借金を残さずに閉めた廃業は入りません。
出典・参考にした資料
- 東京商工リサーチ「美容業の倒産、過去20年で最多 ~ 問われる経営効率化と対応力 ~」(2026年1月31日)
- 東京商工リサーチ「年度上半期の「美容室」倒産 54件の高水準 低価格と高付加価値に二極化、差別化がカギ」(2026年10月25日)
- 厚生労働省「令和6年度衛生行政報告例の概況」生活衛生関係(表4 生活衛生関係施設数の年次推移)
- 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査 業種別経営指標(美容業)
- 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」2025年度調査 従業者規模別経営指標(美容業)
※料金・材料費・施術時間は公式資料(2026年時点)と導入サロンの例です。数字は目安と計算の例で、売上や来店数を約束するものではありません。実際の提供内容と条件は、導入相談のときにご案内します。





